門 第五話

友達から聞いたグループ内の喧嘩を蠱毒と言ったら怒られた

わー
海だー

俺たちは今第4区画へと来ていた

部屋で寝ていたら山目兄弟に叩き起され
ジジイの所へと連れていかれた

ジジイの部屋には、錐雄(キリオ)と倫子(リンコ)もいた

「昨日の今日で悪いが早速任務だ」

第4区画にて歪みの発生を確認
周辺を探索し、門を発見し次第閉じること

俺達は今、上空から第4区画を見下ろしていた

「アレは海じゃないで。湖や」

「湖…」

「まぁ、でっかい水溜まりみたいなもんやね」

「へぇ…」

き、気まずい〜
あんまり喋ったことないから気まずい〜

多分、歳近いんだけど、この2人と殆ど紅松寺で会わないんだよなぁ

倫子に至っては声も聞いた事ないぞ

「第4区画はほぼこの湖で埋まっとる。空鮫さん曰く、湖の中心部に歪みがある言うてたわ」

「じゃあ、船とか必要だったんじゃ」

「それは大丈夫や。ここは船とかいらんねん」

そうなの?
湖って水だよな
もしかして泳ぐ気?

「一応言うとくと泳ぐ必要もないから」

俺が不思議そうな顔をしていたら錐男は、

「着いたら分かるわ」

と言って、倫子に話しかけ始めた。

「そろそろ着陸するぞーん」

「あいよー」

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紅松寺

「揃ってるな」

頭領は席に座りながらゆっくりと見渡した

「何人かいねぇか」

「任務に出ている者以外は集めました」

「そうか…じゃ、幹部会を始めよう」

そこには鞘や空鮫を含め、守衛団の幹部たちが集まっていた

「最近、妙な噂が流れてきてな」

「どうやら聖域を狙う連中が出てきたらしい」

「聖域…ですか」

「オメェらの中にも門を探す連中と出くわしたやついるだろう」

「狙うってどういうことだよ」

「神になって聖域に行きてぇんだろ」

「そんな無茶な」

幹部たちは鼻で笑う

「まぁ、聖域に行きたがる馬鹿ってのはいつの時代も居た。それ自体は大した問題じゃねぇ。だが問題はその手段だ」

「どんな手段だよ?」

頭領は少し言い淀み、口を開いた

「…神と正門を殺す」

「ハハハッ!!!」

いつ間にか扉の前に灯が立っていた

「歴史は繰り返されるな。なぁ頭領」

「灯…」

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俺たちは湖周辺の陸地へ着陸した

「どっこいぞん」

山目兄が飛行機から降りた
飛行機と言っても1人しか乗れないミニ飛行機だ

「ふぅ〜疲れたぞん」

そう言って山目弟はミニ飛行機から元の姿に戻った。

山目兄に元の大きさに戻してもらってから錐男が話し始めた

「兎丸くん、こっち来てみ」

錐男に呼ばれ、水際まで近づく。

「ここの湖はな、ほれ」

錐男が湖へと飛び込んだ

わ、わんぱくっ!
そう思いながら飛んでくるだろう水飛沫を予想して顔を腕でガードする。
だが水飛沫は上がらなかった。

「凄いやろ」

錐男が水面に立っていた

「ここ、水の上に立てんねん」

「ま、マジか」

「大マジや。普通の地面とほぼ変わらん。逆を言うと潜ったりとか泳いだりは出来へんで」

「す、すげぇ…」

恐る恐る俺も水の上に立ってみた
少しだけ揺れてる…

「さてと…兎丸くんも驚かせたし、そろそろ行こか。倫子!準備できたかぁ?」

「うん」

振り返ると倫子が立っていた。
腰の辺りに仮面がぶら下がっている。

「あの仮面、気になるやろ」

「え?あぁ、何の仮面?」

「ワンポコ」

「わんぽこ?」

「昔、倫子と一緒に暮らしてた犬。その骨でできてきる仮面や」

「骨?」

「ワシはホントに犬なんか疑っとるがな」

「ワンポコは犬」

ほ、骨…

「じゃ、兎丸くんと山目兄弟はここで待っといてや」

「「了解ぞーん」」

「え?いいのか?」

「向こうに何があるか分からんしなぁ。そんなとこに次期頭領を連れていけんやろ」

「私たちが見てくる」

「いやでも」

「大丈夫や。なんか見つけたら呼びに戻ってくるわ」

そう言って錐男と倫子は湖の奥へと歩いていってしまった

「いい人たちだ…」

行かずにすんでラッキー

「錐男たちが戻ってくるまで何か食べるぞん!」

「ぞーん!」

確かに腹減ったな
戻ってきた時に食べれるようアイツらの分も準備してやろう

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「魚」

「おぉ〜仰山飛んどるなぁ」

湖の上空には大漁の魚達が群れを成して飛んでいる。
錐男達は時折飛んでくる魚を叩き落としながら先へと進んでいた。

「あれマグロちゃう?」

「速い」

「帰りに採れたら採ってこか」

「うん」

しばらく歩いていると湖の上に何かが転がっているのが見え、立ち止まる

「なんやあれ?ボールか?」

それは緑色の球体でバスケットボールほどの大きさがありそうだ

「マリモ…」

「あぁマリモか!さっすが倫子、物知りやなぁ」

まりもっこり…フッ」

「残念な子やなぁ…」

マリモは1つではなく、点々と転がっている。
それらを避けて進んでいくと小さな浮島があった。

「花」

「花やな」

浮島には1輪の花が咲いていた

「これなんて花やっけ」

「…ハス?」

「蓮の花か。綺麗やな」

「お前の方が綺麗だよ…」

「そりゃどうも」

「フッ」

「鼻で笑うんなら言わんといて」

錐男は周辺を見渡す

この花の周りを囲うようにマリモが転がっとる…

「錐男、上」

「あぁ…ここやなぁ」

花の上空に大きな「歪み」が存在していた。
空鮫から報告があった場所で間違いないだろう。

「てことは…門はこれか?」

錐男が花へと手を伸ばすと、周辺のマリモが転がり始めた

「ローリングマリモ…フッ」

「アカン…囲まれてるやん」

錐男たちは大量のマリモに囲まれ、逃げ道を失っていた

「マリモ、踏んでいく?」

「せやな」

マリモを踏んで行こうと足をあげた瞬間、水中から手が飛び出してきた

2人は後ろに飛んでそれを回避する

ザバァ!

マリモ達は一斉に立ち上がった

「マリモって身体あるんや」

「緑…」