門 第四話

お前の話も排水溝に流したい

俺たちは第5区画から紅松寺に戻ってきた

「兎丸、30分後に俺の部屋に来い」

「鞘、空鮫が戻ってきたら話を聞いといてくれ」

「了解」

俺は自分の部屋に戻った。

灯はどこかへ出かけているようだ。

「疲れた…」

ベットに横になると、すぐに山目兄弟が部屋にやってきた

「「ぞんぞん♪」」

「ご機嫌だな」

「今日は牛肉が食べれるぞん♪鞘が仕留めた新鮮な牛だぞん♪」

「そぉか、よかったな」

「食べたら兎丸も元気でるぞん」

「一緒に食べるぞん」

「あぁ、ジジイのとこ行ってから行くよ」

「「待ってるぞーん」」

山目兄弟は小躍りしながら出ていった。
俺もジジイの部屋に行こう

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「ジジイ、来たぜ」

「おぅ、そこ座れや」

俺はジジイの向かいに敷かれた座布団に座る

「早速本題だが…これからお前にも本格的に仕事をやってもらう」

うん…嫌だ…

「俺らは「歪み」を正すために「門」を閉じて回っている。それは「神」を聖域へと帰す為だ」

「和国の各地点にこの紅松寺のような拠点があってな。それぞれが担当された区域内の歪みの調査と門の探索を行っている」

知らなかった…
思ったより大組織なのか?

「協力の要請があればお前にも行ってもらうことになるだろう」

「ジジイじゃダメなの?」

「俺は俺で調べなきゃいけないことがあってな」

「なんだよそれ」

「まだ情報が少なくてな。わかり次第お前にも話すよ」

面倒くさそうだなぁ

「俺もそろそろ歳で引退も近い。お前には早く慣れてもらう必要がある。頼んだぞ」

「わかったよ」

「よし。それじゃこれを渡しとく。これから管理はお前がしろ。無くすんじゃねぇぞ」

ジジイが渡したのは金色の針、「鍵」だった

俺はそれを受け取る。
なんだろう
さっきよりも妙に重く感じた。

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食堂に行くと山目兄弟と空鮫さんがいた

「お〜兎丸。頭領との話は終わったのか〜」

「うん、さっきね。というか空さん俺の事チクったでしょ」

「え〜?チクってなんかねぇよ。結界内にはいないって言っただけ〜」

「チクってんじゃん」

「なんだ文句か?私が悪いのか?あん?」

くっそぉ…
怖いよぉ
ガラ悪いよこの姐さん…

「喧嘩はダメぞん!」

山目兄弟が間に入ってくれた
優しいやつらだ

「そうだぞん!もうこれ以上待てないぞん!牛肉を食いたいぞん!」

食い意地張ったやつらだ

「兎丸のことずって待ってたんだぜコイツら」

「そっか…わりぃ。ありがとな」

「気にするなぞん!食うぞーん!」

山目兄弟は勢いよく飯を食う
空鮫さんはその様子を眺めながら酒を呑んでいる

「平和だねぇ」

「灯」

「兎丸もいっぱい食べなよ。これから頑張ってもらわなきゃいけないからね」

「…お前、ホントに神なの?」

「そうだよ。信じてなかったんだ」

「まぁな」

たまたまこっち(現世)に来たら、帰れなくなっちゃうなんて困ったもんだよ」

「何しに来てたんだ?」

「君らの内輪揉めを止めるためだよ」

「内輪揉め…?」

「ふふ…時間があったら頭領に聞いてごらん」

「なんだよ、今教えろよ」

「頭領が話してないなら、まだ兎丸には早いってことなんだろ」

「あ〜?なんだよ」

「とりあえず今は歪みの修正頑張って」

「ちぇ、わかったよ」

「あ、もしご先祖に会うことがあったらよろしく言っといてよ」

「先祖?どういう」

「じゃね〜」

灯はどこかへ行ってしまった。
なんだよ先祖って。

よく分かんないことばっかりだ