門 第七話

米粒としゃもじでテニスをしよう。ほら見失った。

「あれ〜?いないな」

「帰っちゃったぞんねぇ?」

「網どうすっかな」

兎丸たちは網を使って無事魚を捕まえ、戻ってきていた

「とりあえず食べるぞん…ペコペコぞん…」

「ん?あれ倫子じゃね?」

倫子がこちらに走ってきてるのが見えた

「おかえりぞ〜ん」

倫子は息を切らしながら言った

「兎丸、一緒に来て」

俺は一瞬迷って言った

「…ヤバめ?」

「ヤバめ」

「oh......」

「this is a ヤバイヤバイtime」

ホントか?

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ガキィッ!

鉄と肉がぶつかり合う

錐男と写楽はマリモ達の相手をしつつ、お互いへ攻撃を続けていた

写楽の拳を棒で防ぎ、返しで一撃を打つ
防御には無関心なのか写楽は避けようとはせず身体で受け止めていた

「こっちは一撃喰らわんように神経注いどんのに…」

「ははぁー!鍛え方が違ぇのよ!」

タフな奴やのぉ…
てかマリモが邪魔やな
しゃあない…

錐男は後ろに大きく飛び、その場から離れた
そしてそのまま後方に下がっていく

「なんだよ逃げんのか」

この辺か?

「掃除や掃除」

錐男は身体を捻り、勢いよく得物を振り抜いた

その瞬間、錐男の前方にいたマリモ達が横一線、真っ二つにされる。

「あ?なんだ?」

写楽は異変を感じ、半歩下がろうとして気がついた。
自身の腹部と腕が切り裂かれている。

「ぐぁぁ!!!いってぇ!」

「あ、すまん。距離ミスったわ」

あの野郎!何をした?!

再び前を向くと、錐男は眼前まで迫っていた

チィ!!!

状況を理解しないまま、繰り出される連撃を身体を丸めて腕で受ける

「どうしたんや、そない丸くなりおって。怖かったら逃げてもええんやで」

「ふざけんな!!!」

防御姿勢を解き、腕を大きく振り開いた



写楽の胴体に赤い線が刻まれる

「楽しみたかってんけどなぁ」

「てめぇ…!」

振り返り、自分の背後に回った錐男の姿を確認する

「1回切ってもうたしもうええわ」

錐男の手には黒い刃を携えた鎌が握られていた

「ほな、さいなら」

首が宙を飛んだ

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「……結構遠いんだな」

「……」

「もしかして、迷ってる?」

「てへ」

俺は山目兄によって半分ほどの大きさに変えられていた。
そんな俺を倫子は小脇に抱えて走っていた。

「しょうがない…」

倫子は俺を降ろし、腰にぶら下げていた仮面に手をやる

「力を貸してワンポコ」

そう言って倫子は仮面を被った

グルルル…

倫子の髪の毛が逆立つ…
手を水面について四足歩行の格好をしている
まるで獰猛な獣のようだ

「兎丸、背中に乗って」

「わ、わかった」

「飛ばすからしっかり捕まってて」

「りょ、了解!」

怖いよぉ

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錐男は息を吸って深く吐いた

「まだおったんかい」

視線の先には1人の少女
まるで和風人形のような出で立ちをしている

少女の隣には写楽が膝をついて息をしていた

「…斜陽」

「私が助けなきゃ死んでたよ」

「うるせぇ」

アイツの仲間みたいやな
恐らく異能は…

「転移系か」

少女、斜陽が錐男のほうに顔を向けた

「そこのボケと今ワシの足元に転がっとるマリモを入れ替えたんやろ」

錐男は切り離されたマリモの頭部を鎌で突き刺した。

斜陽は錐男に向けてニコりと笑った

「八郎さん」

上空で待機していた龍が再び水面に頭を降ろした。
斜陽はそこへ飛び乗る。

「帰るよ写楽

「顔は覚えたぜ…。じゃあな鎌使い」

写楽と斜陽を乗せた龍は上空へと飛んで行った

「なんやねんアイツら…」

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「きりおー」

「お、やっと来たか。遅いで2人とも」

「悪ぃ!道に迷っちまって」

「迷うて…。倫子、お前…」

「めんご」

倫子は仮面を外しながら謝った

「すげぇなこれ…全部錐男がやったのか?」

来る途中から緑色の人型の何かが倒れまくっていた。
倫子曰く、これはマリモらしい

「まぁそんなとこやな」

コイツ意外と怖いやつなのか…
近づかないどこう

「大変やったんやで〜。なぁんか変な奴が来てなぁ…」

「変な奴?」

「まぁとりあえずいいわこの話は。先に門閉じてまお。マリモが動き出したら面倒や」

「う、うん」

「こっちや」

錐男に連れられた先には1輪の花があった

「この蓮の花、多分これが門や」

蓮ね
なるほどね
アサガオなら知ってるぞ

「えっと…鍵、鍵…」

鞄から取り出した鍵は金色に光っていた

「…間違いないと思う」

「金ピカ」

「よしゃ!じゃ頼むわ」

俺はゆっくりと花に近づき、花の中心に鍵を挿し込む。
すると、上空にあった歪みが揺らぎ花を吸い込んで消えていった。

「任務完了やな」

「おつ」

こうして初めての閉門が終わった

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「そうか…そいつは大変だったな」

門を閉じた俺たちは紅松寺に戻り、ジジイに任務の報告をしていた

「じゃ、ワシらはこれで」

「あぁ、ご苦労だった」

さ、俺も部屋に帰って寝るとしよう。
朝早いんだよ、全くもう。
嫌になっちゃうわねっ!

立ち上がろうとした俺にジジイが声をかけて来た

「おい兎丸」

「ん?」

「お前何もしてねぇな」

「門閉じましたけど?」

「たまには訓練に顔出せ。自分の身くらいは自分で守れるようにな」

「ほーい」

訓練ねぇ…
いつやってんのかも知らねぇや

「毎日やってるから暇な時に稽古場に行きゃいい」

心読まれた…
めんどくせぇけど行ってみるか

「休憩したら行くわ」

そう言って俺はジジイの部屋からそそくさと立ち去った

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「ふぅ…」

兎丸達が居なくなった部屋で頭領は頭を抱えていた

「悩んでるね」

「灯か…」

「兎丸、ちゃんと帰ってきて良かったじゃないか」

「錐男がついてたんだ、そこは心配してねぇよ」

「はは!死神くんか。強いもんね」

灯は楽しそうに笑った

「問題なのは…かち合わせたって言う敵のほうだ」

「ふぅん。どうして?」

「龍だとよ」

「…」

「仲間から八郎って呼ばれてたらしい」

「なるほどね…八郎太郎か。ということは」

「北部龍兵が関わってると見てまず間違いないだろう」

頭領は深いため息をつく
少し俯き、一瞬悲しそうな顔をした

「…年寄には堪える」

頭領は立ち上がる

「まずは偵察からだな」